薬物依存症は、一度その深みに陥ると、個人だけでなく社会全体に多大な影響を与える。しかし、適切な教育と予防活動を通じて、薬物依存症の発生を未然に防ぐことは可能である。私はかつて薬物依存症に苦しみ、回復して20年以上が経過した。この長い年月の中で、薬物依存症に対する教育と予防活動はどのように変化し、そして今後どのような改善が求められるのか、その経験から語りたい。私が薬物依存症に陥った当時、薬物に関する教育は非常に限られていた。学校での薬物乱用防止教育はあったものの、その内容は画一的で、薬物の危険性を一方的に伝えるものが多かった。薬物がもたらす本当の恐怖や、なぜ人が薬物に手を出してしまうのかといった、本質的な部分に触れる機会はほとんどなかった。私は好奇心や、現実からの逃避願望から薬物に手を出し、その結果、人生を大きく狂わせてしまった。薬物依存症の治療を開始し、回復への道を歩み始めたが、その後も薬物依存症の後遺症と向き合い続ける日々だった。20年が経過した今、薬物依存症に対する教育と予防活動は大きく変化したと感じている。まず、教育内容がより多角的で実践的になった。単に薬物の危険性を伝えるだけでなく、薬物に手を出してしまう背景にある心理的な要因(ストレス、孤独感、自己肯定感の低さなど)についても深く掘り下げて学ぶ機会が増えた。また、薬物依存症は「病気」であり、回復が可能であるというメッセージも積極的に伝えられるようになった。薬物乱用防止教室では、私のような回復者が自らの体験を語ることで、生徒たちに薬物のリアルな危険性や回復の希望を伝える機会も増えた。これは、一方的な情報伝達よりも、はるかに生徒たちの心に響くと感じる。次に、予防活動もより広範囲になった。学校教育だけでなく、地域社会やインターネット上でも、薬物乱用防止に関する情報発信や啓発活動が活発に行われるようになった。SNSを活用した情報提供や、若者向けのイベント開催など、様々なアプローチで予防活動が展開されている。これらの変化は、薬物依存症の発生を未然に防ぎ、社会全体で薬物問題に取り組む上で、大きな前進となっているだろう。しかし、その一方で、依然として多くの課題が残されていることも感じている。